「信仰」と「癒し」 スピリチュアル・ヒーリング療法

「日が暮れると、いろいろな病気で弱っている者をかかえた人たちがみな、その病人をみもとに連れて来た。イエスは、ひとりひとりに手を置いていやされた。」                           (ルカ4:40)

「病人に手を置けば病人はいやされます。」      (マルコ16:18)

「まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしを信じる者は、わたしの行なうわざを行ない、またそれよりもさらに大きなわざを行ないます。わたしが父のみもとに行くからです。」           (ヨハネ14;12)

癒しという言葉が現代社会のキーワードとなり、リラックスをすること、また、ストレスから解放されることを求める人達の需要は年々高まって来ています。そこで、今回の「チャペルだより」では日本ではあまり知られていない、「スピリチュアル・ヒーリング療法」について考えてみたいと思います。
この療法を知ったきっかけは、私共の79歳の信徒の方が約1年3ヶ月前に、肺癌の告知を受けたことにあります。その時、私も家内も大変な衝撃を受け、何とか兄弟の病からの回復のためになればと、信仰を持って祈ると共に、癌についての医学書等の本を読んだり、インターネットで、治療法について調べたり奔走したのですが、その時に出会ったのがこの療法です。
スピリチュアル・ヒーリング療法はキリスト教とは全く関係ない医学博士の帯津良一氏(東京大学医学部卒業後、同大学第三外科等で勤務)のお書きになった一般の医学書「がんを治す療法事典」に紹介されていました。驚いたことに、この療法は、キリスト教の教会から発生した治療法といわれ、特にイギリスでは、病院やクリニックで「手かざし療法」として公然と行われているといわれています。「スピリチュアル・ヒーリング療法」には、特別のグッズは一切使われず、ちょうど癒しの信仰を持っている伝道者が按手の祈りをするようなかたちで行われているようです。
歴史的背景については、スピリチュアル・ヒーラーとして最も有名な人物、イギリスの「ハリー・エドワーズ」(1976年に他界)の存在がもっとも大きかったといわれています。彼の業績により、イギリス社会においてこの療法は市民権を得、認知される程になりました。
すなわち、彼は、「さまざまな宗教的、又は、哲学的背景(バックグラウンド)を持っているヒーラーたちは、一つの大きな組織を造るべき」と提唱してNFSH(全英スピリチュアル・ヒーラー連盟)を組織したのです。この組織では、宗教的な色合いが消し去られるようになり、現在では、約9千人のヒーラーが登録していると言われています。一方、日常の医療において、医師と手を組んで治療に当たる「英国ドクター・ヒーラー・ネットワーク」も組織され、今では、英国社会において補完医療(西洋医療の不足を補う医療)の地位を築きつつあります。
イギリスでは、健康保険の対象になるくらい認められている療法です。(私の得た情報では日本でもすでにカウンセリング的な位置付けで保険の対象になっているとのことです。)近年、日本でも、英国で研修やセミナーを受け、医療現場でいかしている医師が出ているとのことです。手術後の再発防止や、情緒の安定等を求めて、この療法を実際の医療の現場で実施している医師も出てきています。
ヒーリングで用いられているエネルギー(ソースと呼ばれるもの)の正体はまだ完全には解かっていないようですが、何らかのエネルギーがあって、身体に影響を与えていることはさまざまな臨床実験を通して明らかにされています。いずれにしても、この療法では「手を置く(かざす)」ことと「ソースからのエネルギーの中継」(ここには祈りと愛があると思われます。)がベースにあるようですが、この療法が、さらには、信仰心(教会に通うこと等)が、心身に与える影響について研究し、興味深い結果を提唱している米国の2人の学者について紹介したいと思います。
アメリカの免疫学者、マンドゥ・ゴーナム博士は、ヒーリングが私達の白血球内に含まれている免疫細胞であるナチュラル・キラー(NK)細胞に与える影響について実験しました。「ヒーリングを受けている人と受けていない人では約2倍の違いがあり、受けている人の方が、より免疫力があり、より健康体であるとの実験結果が出た」といいますから驚きです。
また、別の免疫学者のリンド・パウエル博士は、米国立衛生研究所(NIH)のデータの中から「信仰と治癒力」に関する150本の論文を検討、研究し、信仰(宗教)と病気との関わり、すなわち、その医学的効果について検証しています。
特に博士が注目したのは、教会に通う人の死亡率は、そうでない人より25%も低いというデータでした。主な調査対象はキリスト教徒でしたが、博士の研究結果は、教会に通い、聖書を学び、賛美歌を歌い、全能の神に祈りをささげる行為は、私達の心だけではなく、肉体にも非常に良い影響があり、脳や免疫学の研究からみても、医学的な効果がある可能性を示唆しているといえるでしょう。(右表参照)
もちろん、私は癒しを信じる牧師として、癒し以上に「救い」の重要性を認識しているつもりです。イエスの十字架を信じ、罪を悔い改め、イエスの血潮によって聖(きよ)められ、新生(イエスを信じ新しく生まれ変わること)の体験をすることこそ、まず、第一に、優先されなければいけないと確信しています。しかし、今回の、「スピリチュアル・ヒーリング療法」との出会いは、聖書が私達に教える「癒し」について、今一度見直す機会を与えてくれました。
「スピリチュアル・ヒーリング」と「聖書の御言葉に立って祈る信仰の祈り」との間には、例えば、癒しの「エネルギーの源」の捉え方(表現の仕方)等において異なっている点があるかもしれません。しかし、共通した点もあります、それは、「手を置く」ということと「結果として癒しが起こる」ということです。
すなわち、イエスが約2千年前に言われた「病人に手を置けば病人はいやされます。」 という御言葉は、たとえ、聖書的な信仰がない人々が行なっても、普遍的な真理として働いているのではないかということです。もしそうだとするならば、「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。」といわれたイエスと共に生きている私達は、さらに、大胆に、積極的に、「癒し」を求めるべきではないかということです。

「この天地は滅びます。しかし、わたし(イエス)のことばは
決して滅びることがありせん。」  (マルコ13:31)

「ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにか
なった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか。」 (へブル4:16)           

「愛する者よ。あなたが、たましいに幸いを得ているように
すべての点でも幸いを得、また健康であるように祈ります。」  (Ⅲヨハネ 3)

「彼(イエス)の打ち傷によって、私たちはいやされた。」     (イザヤ53:5)

神(聖書)のみ言葉に立ち、信仰に固く立ち、 「癒し」を信じ、粘り強く、祈りこんでいきましょう。

“Don’t give up !”

コメントを残す