「神は細部に宿る」―この言葉は、日々の小さな、しかし忠実な歩みの中にこそ、本質が宿るという深い洞察を与えてくれます。茶道における最高位の称号を持つ千玄室大宗匠は、小学一年生の時にお母様から「毎朝鏡の中の自分に『おはようございます』、夜には『ご苦労さま』と声をかけなさい」と教えられ、今日までそれを続けてこられたそうです。この日々の小さな習慣こそが、大宗匠の強運の一因となっているのではないでしょうか。まさに、「神は細部に宿る」のです。(参考文献:「致知」2025年3月号)
この「神は細部に宿る(God is in the details)」という言葉は、西洋においても深く浸透していますが、日本の茶道に息づく精神性と驚くほど共鳴します。
世界的なベストセラーである「聖書」にも、次のような教えがあります。
「最も小さなことに忠実な人は、大きなことにも忠実であり、最も小さなことに不忠実な人は、大きなことにも不忠実です。」(ルカによる福音書 16章10節)。
これは、イエスが、日常の些細な行いの中にこそ、その人の真価が表れると説いた言葉です。小さなことへの誠実さこそが、大きな責任や信頼を築く礎となる―この普遍的な真理は、「神は細部に宿る」という千玄室大宗匠の精神と深く響き合います。
聖書と茶道―異なる文化と時代背景を持ちながら、この二つは「小さきことの中に、真理が宿る」という一点において、深く、そして美しく共鳴し合っています。
