多くの中小企業経営者に勇気と指針を与えた稲盛和夫氏は、自身も若い頃は恵まれた環境ではありませんでした。しかし、困難を乗り越え、運命を切り開いていく中で、次のような言葉を残しています。
「災難や苦難に直面しても、嘆かず、腐らず、誰かを恨まず、不満を言わず、ただ前向きに努力を続けることが大切です。いま経験している苦しみは、未来のより良い出来事のために、また自分が成長するためにあるのだと信じ、耐え抜き、むしろ感謝する気持ちを持つことが重要です。
反対に、良いことが起こった時は、決して驕(おご)らず、偉ぶらず、謙虚さを忘れないこと。『こんな素晴らしい機会に恵まれてよいのだろうか』と、感謝の気持ちを持つことが、素晴らしい人生を生きるための絶対条件です。」
—(参考:「致知」2025年4月号)
この言葉から、大きなことを成し遂げた人は、人生の節目ごとに心を高める努力を惜しまなかったことが分かります。
また、カトリックの信仰を持ち、東京大学大学院人文科学研究科の博士課程を修了された鈴木秀子シスターも、人生の苦難について次のように語っています。
「人生では、愛する人の死や病気、天災など、自分の力ではどうにもならない出来事が起こることがあります。逃げたくても逃げられないそんな時こそ、私たちは忘れてはいけません。どんなに辛い出来事にも、必ずプラスの面があるのです。
私たちの人生の目的は、魂を成長させることにあります。一見マイナスに思える出来事も、それを魂の成長の糧と信じ、小さなことでも真心を込めて取り組んでいくことで、新しい道が開けます。そして、その試練を乗り越えた時、私たちは一回りも二回りも大きく成長しているはずです。」
—(参考:「致知」2025年3月号)
さらに、世界的なベストセラーである**「聖書」**にも、次のような教えが記されています。
「それだけではなく、私たちは苦難さえも喜びます。それは、苦難が忍耐を生み、忍耐が練られた品性(人格の成長)を生み、そして練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。
この希望は、決して私たちを失望させることがありません。」
—(ローマ人への手紙 5:3-5)
このように、苦難は人生において避けられないものですが、それをどう受け止めるかによって、未来は大きく変わります。苦しみの中でも前向きに努力し、感謝の心を忘れずにいることで、やがて明るい道が開けるのです。